【第4章】無感情の心理

倒産された元請け会社への怒り、詐欺師への怒り。
そして、僕を追いかけてくる全ての恐怖。
会社の崩壊と家族や仲間からの信頼の崩壊。
この時、何を感じたか。
それは、怒りを超えた、憎しみと呪いである。
まずは、詐欺師の件で地元大分警察署に行った。
全ての会社の利権と財産、クレジットカード、そして、2千万。
これだけの大掛かりな詐欺だ、きっと、すぐに動いてくれるだろうと・・・。
しかし、事情聴取をした後、思いもよらぬ返事が返ってきた。
警察「ああーーー今井さん、厳しいですね。」
今井「え?だって、会社の利権も消え、僕のクレジットカードも実際このように使われ、現金がなくなってる事実があるんですよ!」
警察「しかし、証拠がない。」
今井「実際、クレジットカードも勝手に使われてる!」
警察「あなたが本人に渡したのは事実ですよね?」
今井「はあ?渡したら勝手に使っていいのか?」
警察は続けた、我々は命を優先にするので、こうした詐欺は順番待ちである。そして、もし仮に捕まえたとしても、刑事事件ですから、お金が返ってくるわけではない。
その時、自分の中で完全に何かが崩れた。
事情聴取の部屋を飛び出し、沢山いる警察のフロアに入り、そこにあった書類や名刺をあたりにバラまいて心の底から叫んだ。
「俺が嘘でも言ってると思うのかぁぁ!!会社も家族も崩壊したんだぞぉぉぉ!」
当然、周りから取り押さえられた。
警察「これ以上すると、あなたも逮捕しますよ!」
御構い無しである。
もう人生どうでもいい。警察もろとも殺してやる。
本当にそのとき、そう思って最大の力で抵抗した。
愛する家族、仲間、会社。全て、倒産、詐欺によって、根こそぎ奪われた。
そして、法も人を守るものではない事を心から理解した。
よく見る詐欺のニュースなどは、警察側のお仕事しましたよ アピールのほんの一例。
実際は、このような水面下で詐欺に苦しめられてる人間の方が遥かに多い事を改めて思い知った。
絶対に、負けない!!絶対に許さない!!全員、地獄に落としてやる。
それから、毎週警察に行ってひたすら抗議した。
それでも、まったく動かなかったので、検事の方にも相談に行ったのだが・・・。
何も変わらずである。
そうしていると今度は、僕が裁判を受ける側となりはじめる。
刑事裁判、民事裁判、訴え、訴えられ、いろんな案件があったので、全部で60件近くに登った。
僕は、怒り、苦しみ、呪い、そして、人から 怒られ、苦しまれ、呪われた。
そんな期間を数ヶ月も繰り返していくと やがて、憎しみは、燃やし尽くされ。
感情のない無表情な人間になって行った。
裁判も無感情で淡々と進めれるようになった。
絶対に許さない・・。
当時、そうブツブツと独り言を唱えていた。
第5章へ続く・・・・。

いつも通った大分警察署