【第2章】刻まれた覚悟

多額の借金を背負った僕ではあるが、善人な会社の社長だし、悪いことしたわけでもない。
予定を全てキャンセルして弁護士、商工会、銀行などあらゆるところに相談に回った。
しかし、結論から言うと
そのような救済処置はなかった
え?でも、民事再生法だとか・・なんだとか聞くし、税金も御国のために支払って来たわけですし、何か方法があるでしょ?・・・と、これを読んでいるあなたは思うかもしれない。
ところが、ないものは、ないのである。
しかも、銀行に被害者として相談したのに、口調の荒い担当者から 今すぐ返済プランを立てて返金しろと、完全に加害者のような対応を受けた。
いや、そうだけど、僕は何も悪い事をしたわけではない!!
加害者じゃない!被害者だ。
この言葉は、この時期に何百回と言ったような気がする。
そして、支払日が来始めた。予想通り、電話の嵐である。
支払先、下請け、リース会社 から電話が一気に押し寄せた。
今井「すいません!このような事がありまして・・」
相手「そんなことは理由にならない!!」
今井「なんとか頑張ってみますので・・もう少しお待ちください。」
相手「待てない!今すぐ返せ!それまで電話を切らないぞ!!」
そこから自分の財産をすべて返済にあて、それでも何とか会社を再起させようと2ヶ月が経過。
その辺りから取立ての担当者が変わり、罵声と共に詰められ 裁判や差し押さえの話で押し込まれる。
もう・・・。限界だ。
不眠と食欲低下により精神的に限界が来ていた。
どうしようもなくなり、病院行った。
うつ病だと診断された。
しかし、それがどうしたというのだ・・。それを直す薬など、返済額のお金以外に存在するわけもない。
いろんな人間に責められ、腎臓を売れとか・・自殺しろとか。次第に本当にそうしてみようかとも思えるようにすらなって来た。
この時に、気がついた事が1つある。
加害者でも被害者でもなく自分は、代表責任者であるという意味。代表+責任とは、この状態を覚悟する勇気という意味が含まれている。
甘かった。僕にはそんな事が起きるとは思ってもいなかった・・・。
倒産経験のある代表取締役しか、この本当の意味を理解できないというのも皮肉なものだが、肩書きの中に全ての責任を背負っているという意味が刻まれている事に、改めて痛感した。
話を戻そう・・。
そんな時だ、とある知人が訪ねてきた。
「今井さん!もしかしたら助かるかよ!」と 彼が手にしていたのは、某大手銀行の会社救済プラン。
おおお!!!本当に!?
ワラにもすがる思いでそのプランを即行、手に取った。
それが・・・更なる悲劇の始まりになるとも知らずに・・・。
第3章へ続く・・・。

当時のうつ病診断書