【第16章】詐欺師からの学び

まるでドラマである。
以前の僕なら間違いなく、ここで暴れている。(笑)
しかし、ここは冷静だった。
どうぞどうぞと僕は、警察を事務所に招いた。
まさか、初めて入れたお客さんが僕を詐欺容疑で疑っている警察だとは・・。
ただ、要件を聞く前に、内容は察しがついた。
どうせ、あの詐欺師が、僕の名前と会社の印鑑を使ったに違いない。
今井「すいません、まだ、何もなく、お茶も出せませんが」
警察「いえ、大丈夫です。えー今井さんは、○○さんをご存知ですか?」
今井「いいえ」
警察「その方から被害届が出てるんです。」
今井「内容は?」
警察「システムの制作依頼にて入金したが放置され連絡がつかないと」
今井「あ・・・。話ややこしくなるので、知能犯のMさんと連絡してもらえませんか?」
今井「軽く話すと・・・(省略)」
警察「なるほど、わかりました。では、」
今井「で、被害総額は?」
警察「750万です」
今井「え!って事は、民事裁判では、印鑑が僕だから、当然、僕に来ますよね?」
警察「我々はなんとも・・。」
いやぁ・・参った。またもや追加オーダーである。しかし、修行の鍛錬なのか、激しい怒りは、全くないし、そんなに動じなかった。やれやれだ。
ただ、引っ越して間もないのに、住所がわかる警察は、怖いなと思った。そんな能力があって、なぜ詐欺の証拠を突き止めないのか・・いかんいかん。これを、考えるとまた成仏したものが化けて出る(笑)
それから2週間後、民事裁判にて案の定オファーが来た。750万円返せと・・。
全く知らない出来事でありながらも代表責任の恐ろしさは、本当に怖い。印鑑一つでこのざまだ。
ただ、ここは経験上、勝算が付いていた。僕は絶対に負けないのだ。
なぜなら・・・。
答えは、以前の章に書いている。
そこを理解した上での冷静さがあった。被害者には本当に申し訳ない事なのだが・・。
ところがだ・・こうした件が、その後また6件出て来た。
さすがに、僕も警察にそろそろちゃんと捕まえた方が良いんじゃないの?とは言ったものの
どうして、こうも人は詐欺に騙されるのかあらためて考えた。
まずは、なぜ、僕が騙されたかだ。
説破詰まって状況が見えなくっていたのは、もちろんなのだが、それ以前に彼を信用した。
心から信じたのだ。
僕は彼の信用した要素を箇条書きにした。
○ハキハキ元気がある。
○声がいい。
○姿勢がいい。
○ファッション力が高い。
○仕草に品がある。
○トーク力がうまい。
○自信に満ち溢れている。
そこだけ見るなら僕が、出会った人間の中でも群を抜いている。
では、極論だが、僕にこんな詐欺ができるだろうか?
善悪でなく、これを一種の詐欺心理ゲームだと捉えた場合だが・・・。
いや・・絶対にこの男に心理ゲームで勝てない!
僕は、それを確信した。
そこで、状況をシミュレーションしてみる。
ひとりで太刀打ちできない状態の時、自分ならどんな人間を頼る?
すべて逆に問いて見る
○元気がない人間に頼るだろうか?
○声質が悪い人間に頼るだろうか?
○姿勢が悪く猫背の人間に頼るだろうか?
○ありえない服のセンスの人間に頼るだろうか?
○仕草が下品な人間に頼るだろうか?
○何を話してるかわからない人間に頼るだろうか?
○自信がない人間に頼るだろうか?
答えはすべてNOである。
どれか1つかけてた場合でも可能性は低い。
では議題を変える。
大切なビジネスをする人は?
答えは同じだ。
繰り返すが明らかに
○ハキハキ元気がある。
○声がいい。
○姿勢がいい。
○ファッション力が高い。
○仕草に品がある。
○トーク力がうまい。
○自信に満ち溢れている。
に、両方とも託す。
では、自分はどうだろう?
ビジネスにおいても、このパワーが今あるだろうか?
答えは「ない」
人は力のある方に引き寄せられる
つまり、リーダーである場合や、何かを成し遂げる際に、この要素を持ち合わせて居ないといずれ行き詰まると言う事だ。
彼が詐欺師でなく、会社の代表ならきっと僕より人を惹きつけるリーダー性があっただろう。
僕は彼に完敗したのだ。
強いものに惹かれる。その強いパワーを得ずに、頭を張ろうとしてもやがて崩れる。その努力を完全に怠っていた。パーソナルパワーが、ないものは敗れる結末にある。
ここにきて、また僕の敗北の要因が浮き彫りになってきた。
くれぐれも言っておきたいのだが、詐欺を容認しているわけではない!(ただ、詐欺にあった特典くらい述べても良いはず!笑)
その後、詐欺被害者は、さらに増え、もう10件を超えていた。
この詐欺師は、ちゃんとビジネスしたら超天才なのにもったいないと心から思った。
なるほど!僕に無いものを教えてくれてありがとう!高い授業料だったが、しっかりと学ばせてもらったと肝に命じ、まずはパワーの出し方として可能な限り、陽のオーラーを出す訓練を続けた。
その結果、不思議な人脈変動が起き始めた!
17章に続く・・・。

通った大分地方裁判所