【第11章】解放された心

公園での出来事の後、高熱が出た。さすがにダンボール生活では耐えれずに、全財産をはたきスーパー銭湯の畳の上で座布団を包んで雑魚寝した。
しばらくして、まるで2、3日寝ていたかのような感覚で目が覚めた。
「よく寝た!!!」
身体の痛さは残っているものの、意識がみなぎっている。そのまま、銭湯に入り、少しぬるい温度の壺湯に入った。
なんてありがたいんだ・・。
感謝という言葉がこれほどまでにこみ上げて来た事はなかった。
そこで、瞑想のように目を閉じ、長時間、自分会議を行った。
どんなに前向きに考えても、足を引っ張る意識がある。それは、恐怖や怒り、呪い的な感情である。
前向きに考える時、この感情は、邪魔者でしかなく、憎悪が暴れて、未来の可能性を大幅に削ってしまうのだ。しかし、わかっていても、この感情が止められない。
では、どうすれば・・・。
そうだ、まずその感情を可能な限り捨ててしまうしかない。
まずは、そこからはじめよう。
倒産した元請け会社を許す
詐欺をした人間を許す
しかし、これは簡単な事ではなかったのだ。
毎日、この意識の解放をイメージをするも、やはり、どうしても彼らが普通の生活をしてる事が腹だたしくなる。そうした連中が、美味い物を食べ、フカフカの布団で寝ている様を考えると居ても立ってもいられなくなるのだ。
僕は、それでもこの感情を捨てきらないと前に進めないと考え、毎日、川辺で朝日を浴びながら瞑想する日課を作った。
許す儀式の瞑想である。
それを繰り返すとある日、腑に落ちた回答が出た。
捨てるのでは、だめだ・・成仏させるしかないんだ。言い聞かせたり、押し殺しても、成仏はしない。つまり、自分が納得した上での解放でなくてはならない。
それに、気がつくと、僕は、すぐに歩いて警察に行った。久しぶりだった。ここに来ると、怒りしか出なかったのだが今日は冷静である。
受付に申し出て、知能犯担当の方が現れた。いつも暴れるからであろう、かなり警戒した表情。
僕が話す前に説明を始めた。
警察「え・・この件だけどね、何度も言うように順番があってね、一応、ちゃんと預かっているから・・・。」
僕は、言った「ああ、その件ですが、すいませんが、取り下げます。」
警察「え?もう、いいの? これ、取り下げて、また後から言われてももう、できないよ。」
今井「大丈夫です。もう、いいです。」
警察「しかし・・今井さん、かなり 変わりましたね・・。」
今井「ええ ホームレスになってしまいました。(笑)」
警察「えええ?大丈夫なんですか?」
今井「大丈夫でないんですが、なんとかします。(笑)」
僕は、警察署で取り下げ の依頼をした。正直、期待もしていなかったし、こうして手放せば自分が楽になる事がわかった。この分のエネルギーは未来に使える!
次に、倒産した元請け会社の担当弁護士のところに行った。
今井「先生、お金がないので、相談ではありませんが、お願いがあります。僕もこのような状況になって、勉強になりましたが、多分、倒産された○○代表も、何かあって苦しんでの事だったのでしょう・・。僕はもう良いので、ご自愛くださいとだけ伝えていただけませんか?」
弁護士「わかりました。」
そして、次は知り合いの友人を訪ねた。
友人「今井!!おまえ何してたの!!みんな心配してたんだぞ!」
今井「いやいや、すまない、申し訳ないのだが、携帯の充電と電話かしてくれないか?」
友人「いや、まぁ いいけど・・。」
通話できない携帯を充電し、詐欺師の電話番号を書き写し、友人の電話を借りて、そいつに電話した。すると、普通に出たのである。
今井「もしもし、今井です。」
男「ああ、どうも」
今井「いろいろ、学べました。警察も取り下げたし、もう僕はあなたを許します。」
男「え?いや、ちゃんと返しますよ。また連絡してください。」
今井「はい・・・。」
ほんとうに、口のうまい男である・・他にもいろいろ話しはしたのだが、とにかく、まずは、ちゃんとすべてを解放する覚悟を伝えた。
友人に、状況を説明すると誰にも言わないし、寝泊りも飯も食わせてやるとの事で、涙が出るほど嬉しかった。この日、海鮮定食をおごってもらって、死ぬほどうまかったが、甘えたくもないので、さよならを行ってその場を出た。
許す事は、僕の感情の中で、けっして100%とまでは行かなかったが、不のエネルギー消費は明らかに減り、前進に向け、未来にフォーカスしている事は、体感レベルで感じたのである。
うん!成仏した!もう、ほとんど怒りはない。あとは、それを上回る成功のエネルギーを手に入れる!
では、どうやって。
その時に、思い出した事があった。
心から感謝してるので、あえて名を出したいのだが、僕の会社の税務周りをお願いしていた地元のイデア総研税理士法人の担当の先生が言われていた言葉「打つ手は無限」を思い出したのだ。
そうだ・・打つ手は無限。
成功まで辿り着く選択肢は無限にある。
今、僕が、その選択を見つけれてないだけなんだ・・・。
考えろ!考えろ!ここからの脱出を!
第12章へつづく・・・・。

毎日瞑想した大分川のほとり