【第9章】善意なき道理

ダンボール生活を何日過ごしただろうか、時間の感覚も麻痺し、どのぐらい経過しているもかわからないある夜の事。
僕は、公園で水を汲んでた。すると
目の前に車が止まり少し駆け足で2人の男が僕のところにやって来た。
「こんな夜中に何してるんですか?」と、懐中電灯を僕の顔に当て、初対面にも関わらず、疑い口調の若い警察官が近よって来た。
その瞬間、一瞬にして僕は、沸点に到達した。
いきなり、その警官の胸ぐらを掴み。僕は叫んだ「知能犯担当のMを連れてこい!助けてほしい時には、助けず、無力なホームレスには上から目線かぁぁぁ!おい!!」と。
押し問答になったあと 当然、パトカーに連れていかれた。僕はパトカーの後部座席に連れ込まれ、何かに呪われたように泣いて叫び続けた。自分でもこの感情の制御がコントロールできかったのだ。それが、どのくらい続いたのかは、あまり覚えていないが、気がついたら警察は、無線で連絡し、署に僕の裏付けを取っていた。
そして、警官は申し訳なさそうに「間違いなく、そうした相談もしてるようですし、お心察します。ただ、我々には、できる事と出来ない事があってですね」と諭し始めた。
そんな気休めも言い訳もいらない。
「とにかく、パトカーから降ろして」そういうと僕は、勝手に降りた。
この時、警察官は、窓を開け「今井さん、あまり無理をしないように」と言ったのだがその言葉が、ものすごく無責任に聞こえて治った怒りが、またもや再発し始めた。
しかし、そのままゆっくりパトカーの赤いテールランプは、遠くなり、左にウインカーをつけて消えて行った。
僕は、公園に戻り、出しっ放しになっていた水道の蛇口を閉め、ペットボトルを持って寝床に帰った。
しかし、世の中の道理は納得が行かない。
民事はお金がないと戦えない。
警察は事実はあれど動かない。
これが真実。
たまに、似たような事を言ってる記事やコラムを読んだ事があったが、それはあなたの主観でしょ。くらいに思っていた。
しかし、僕は、身を持って体験したのだ。
善意で自分を守ってくれる人などない。
善意で自分を助けてくれる人などいない。
弁護士も警察もそんなものだ。
でなければ、こんな結果には到達しない。
僕は、何も悪いことをしたわけじゃない。
しかし、生涯働いても返せない金額の借金から逃れられない。
これは、自分の能力の限界値を超えている。
父母、家族よ。仲間たちよ。もう、僕は死ぬしかない・・。
その日から僕は、死に場所を探すようになった。

職務質問を受けた公園